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第28話
死地へ
京都。楠木正成と後醍醐天皇の会話はつづく。
楠木「えっ。なんで却下なんですか?」
天皇「楠木くんさ、もうおれの味方しなくていいよ。これ、どっちみち勝ち目のない戦いだから」
楠木「なに言ってるんすか」
天皇「足利さんとこ行きな。6ヵ国くれるって言ってるし」
楠木「勝てますって。この作戦、勝てますから」
天皇「今回は勝てても、いつかは負けるしょ」
楠木「え」
天皇「おれ、武力もないし人望もないしさ。それなのにホント楠木くん今までありがとうって感じだよ」
楠木「そんなのいいっすよ」
天皇「おれは総大将だから今さら足利さんに謝れないけど、楠木くんはまだ間に合う。足利さんの仲間になんな。そのほういいって」
楠木「でも」
天皇「とにかくこの作戦は却下。楠木くんがこれ以上足利さんに歯向かうことない」
楠木「それマジで言ってます?」
天皇「さ、行きな」
楠木「行きな、って」
天皇「足利さんとこ行っていいよ、これマジで。今までありがとうね」
楠木正成とその弟・七郎の会話。
楠木「――ていうわけさ」
七郎「天皇さん、そこまで考えてくれてるんだぁ」
楠木「じゃ、おれ、行くわ」
七郎「どこに?」
楠木「足利さんとこ」
七郎「寝返るの?」
楠木「そんなわけないしょ。戦いに行くの」
七郎「でも、勝てる?」
楠木「作戦、却下されちゃったから、ぶっちゃけ勝ち目ないけどね」
七郎「それでも戦うの?」
楠木「必勝の法則その4」
七郎「仲間を大切に」
楠木「そう」
七郎「うわ〜。かっこいいね」
楠木「へへ。今ちょっとかっこつけてみた。いいしょ、最期くらい」
七郎「じゃ、行こうか」
楠木「七郎や兵士くんは来なくていいよ。おれだけでいいから」
七郎「なんでさ」
楠木「どうせ負ける戦いだし。犠牲は少ないほうがいい」
七郎「僕も行くよ。兄ちゃん、迷子になったら困るしょ」
楠木「だからあれ迷子じゃないって」
七郎「いいからいいから。さ、行こう」
西暦1336年。楠木正成は出陣した。弟の七郎ほか700騎の兵が彼に従った。
この戦いで楠木正成は死ぬ。
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