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第13話
絶体絶命

紀元前約1000年。

ダビデは軍勢を率い、イェルサレムにむかった。

常備軍「イェルサレムっていうと、鉄壁の防御の街っすよね」

ダビデ「らしいね」

常備軍「どうやって攻めるんすか?」

ダビデ「え。うーん…」

常備軍「ダビデさんのことだから、すごい作戦、あるんでしょ?」

ダビデ「ま、まあね…(汗)」

常備軍「作戦、教えてくださいよ」

ダビデ「ん? いや、内緒 (-_-;)」

常備軍「楽しみだなぁ」

ダビデ「あ、分かれ道だ」

常備軍「ここ、右ですね」

ダビデ「いや。左じゃない?」

常備軍「え。左に行ったら、森の中っすよ」

ダビデ「でも、とりあえず、左っぽくない?」

常備軍「ダビデさんがそういうなら…」

そして。

ダビデ「あれれ? 道に迷っちゃったね(喜)」

常備軍「…なんか、わざと迷おうとしてません?」

ダビデ「これじゃ、イェルサレムにたどり着けないなぁ。残念だ♪」

常備軍「急いでさっきの分かれ道に戻りましょう」

ダビデ「いや。もう夜遅いし、また今度にしない?」

常備軍「でも…」

ダビデ「あんまり遅くても、あれだから」

常備軍「あれって?」

ダビデ「夜中にワーワーやっても、近所迷惑だし、不良だと思われるしょ」

常備軍「いや、しかし…」


そのころ。イェルサレムのエブス人は。

エブス人1「そろそろダビデの軍勢が攻めてくる時間だね」

エブス人2「でも、来ないね」

エブス人1「怖気づいたのかな」

エブス人2「かもね。ふふ」

エブス人1「あ、まさか…」

エブス人2「なに?」

エブス人1「ダビデのやつ、このイェルサレムの唯一の弱点に気づいたのかも」

エブス人2「うそぉ!?」

エブス人1「ダビデならありうるよ。頭いいから」

エブス人2「それ、やばいね…」


ふたたび、こちらはダビデ一行。

常備軍「ねぇ、ダビデさん」

ダビデ「ん?」

常備軍「ほんとに作戦、あるんすか?」

ダビデ「ドキッ! と、とりあえず、今夜はあの洞窟で寝よう」

常備軍「洞窟?」

ダビデ「うん。ほら、あそこの洞窟」

常備軍「なんか、あの洞窟、おかしいっすよ」

ダビデ「え?」

常備軍「なんとなく人工っぽい」

ダビデ「そうなの?」

常備軍「これ洞窟っていうか、きっと水路用のトンネルっすよ」

ダビデ「水路?」

常備軍「あ。位置や方向からして、このトンネル、イェルサレムの城壁の内側に直結してますね」

ダビデ「へぇ〜。そう」

常備軍「なるほど!これがダビデさんの作戦だったんすね。さすが!」

ダビデ「(^o^)?(よくわからないから、愛想笑い)」

常備軍「あの分かれ道を左にすすんで正解でしたね」

ダビデ「ふうん…」

常備軍「一瞬、戦いたくないからわざと間違えたのかと思いましたよ」

ダビデ「……(図星)」

常備軍「よし、このトンネルから一気に攻め込みましょう!」

ダビデは水路用の穴からイェルサレムに攻め込んだ。(旧約聖書・サムエル記)


イェルサレムのエブス人は。

エブス人1「ダビデめ、さすがだ…」

エブス人2「おれら負けそうだね」

エブス人1「うん。イェルサレムが制圧されるのも、時間の問題だよ」

エブス人2「やばいね」

エブス人1「逃げようか」

エブス人2「うん」

エブス人1「逃げて、後日、イェルサレムを奪い返そう」

エブス人2「うん」

エブス人1「でも、その前にダビデを亡き者にしておかなくちゃ」

エブス人2「あいつ、頭良くて厄介だもんね」

エブス人1「というわけで。この秘密兵器を使うか」

エブス人2「おぉ、ついに…」

エブス人1「秘密兵器。その名も、時限爆弾」

エブス人2「でも、この時代に時限爆弾なんてあるっけ?」

エブス人1「アッシリアの技術者が作ったんだ。簡単な仕組みだけどね」

エブス人2「で、どうする?」

エブス人1「まず、降伏したふりをしてダビデを油断させよう」

エブス人2「うん」

エブス人1「で、どっかの部屋に閉じ込めて、この時限爆弾を仕掛ける」

エブス人2「悪いなぁ〜」

エブス人1「いや、いきなり他人の街を攻撃してくるダビデのほうが悪いんだよ」

エブス人2「あ。そっか」

エブス人1「30分後に爆発するようにセットして、おれらはこっそり逃げ出すんだ」

エブス人2「ダビデ、ドカ〜ン!だね」

エブス人1「頭のいいダビデさえいなくなればこっちのもんさ。あとは後日ゆっくりとイェルサレムを奪還しよう」

エブス人2「でも、そんな面倒くさいことするよりもさ…」

エブス人1「うん?」

エブス人2「いきなりナイフとかでダビデを刺したほうが、早くない?」

エブス人1「いや、それだとおれらがすぐ捕まっちゃうしょ」

エブス人2「そっか」

エブス人1「逃げる時間をかせぐためにも、時限爆弾は必要なんだ」

エブス人2「なるほどね」


ほどなく。

ダビデの猛攻でイェルサレムは陥落した。

エブス人1「いや〜。参りましたよ、ダビデさん」

ダビデ「君は?」

エブス人1「イェルサレムの人間です」

ダビデ「あ。この度はどうも、急に攻めてすいませんでした」

エブス人1「いえいえ。気にしないでください」

ダビデ「そう言ってもらえると、助かります」

エブス人1「ところで、お腹、すいてませんか?」

ダビデ「すいてます」

エブス人1「食事を用意してありますよ」

ダビデ「いや、そんな、気ぃ遣わないでくださいよ」

エブス人1「いいんですよ。ささやかな歓迎の意味で」

ダビデ「あ、でもまだ常備軍さんたち、制圧後の治安維持で働いてるし」

エブス人1「ま、かたいこといわないで」

ダビデ「そうですか? じゃ、ちょっとご馳走になろうかな♪」

エブス人1「どうぞ。こちらの部屋です。中へどうぞ」

ダビデ「うわぁ。頑丈そうな壁ですね」

エブス人1「ええ。まあ」

ダビデ「窓には鉄格子ですか。かっこいい〜」

エブス人1「ドアに鍵をかけられたら、絶対に脱出できないようになってます」

ダビデ「あれ? 食事は? どこ?」

エブス人1「今、お持ちしますよ。待っていてください」

エブス人1は部屋を出て、ドアに鍵をかけた。がちゃん。

ダビデはひとり閉じ込められた。

ダビデ「なに今の、がちゃんって」

エブス人1「鍵をかけたんですよ」

ダビデ「なんで?」

エブス人1「テーブルの上に時計があるでしょ?」

ダビデ「うん。あるね」

エブス人1「それ、時限爆弾です」

ダビデ「えっ…」

エブス人1「30分後に爆発します」

ダビデ「ぎぇっ!!」

エブス人1「ドアの鍵は、今、ペンチでクニャッと曲げちゃいました」

ダビデ「えっ!!」

エブス人1「これがどういうことか、わかりますよね?」

ダビデ「力持ちということですね?」

エブス人1「もう絶対に出られないということです」

ダビデ「 Σ( ̄□ ̄;」

エブス人1「歴史にはこう記録されるでしょうね。『紀元前約1000年。ダビデ王、イェルサレム制圧の直後に暗殺される』って」

ダビデ「なんとか許してもらえませんかねぇ…」

エブス人1「だめです」

ダビデ「珍しい形の石、あげますよ」

エブス人1「いりません」

ダビデ「マッサージしますよ」

エブス人1「けっこうです。未来の年表が楽しみだ。では、さようなら」

ダビデ「待って〜〜〜」

常備軍は治安維持の仕事に集中していたため、ダビデの危機に気づくことは、遂になかった。


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